2011年05月03日

常念岳(一の沢ルート)−敗退

皆さん、新年開けましておめでとうございます!!


えっ?新年ならとっくに明けてるって?分かってますよ、そんなことは。ここで言う「新年」というのは暦の話じゃないんです。

えっ?だったら何の話かって?やだなぁ、奥さん。そんなの決まってるじゃないですか〜。


ですよ、


そう、いよいよ今週から北アルプスの山々が山開きを迎えたのです。だから「明けまして」ではなく「開けまして」なのです。

自分も1月中旬に北八ヶ岳に行ったきり山とはご無沙汰しておりましたが、今週からようやくエンジン始動です。


八ヶ岳や丹沢、奥秩父あたりの山も素晴らしいのですが、やはり一度北アルプスに行ってしまうとどうも気乗りがせず、かといって冬の北アルプスに入るとなると装備を揃えるだけでも大変な金額になってしまうので躊躇しておりました。加えてインフルエンザにかかるは地震は起こるわで結局三か以上月も山から離れることになってしまいました。


さて、今シーズンの第一登をどの山にするかで散々迷ったのですが、最終的に過去二連敗中の常念岳に決めました。槍や穂高も捨てがたいのですが、やはり常念の気品には敵いません。あの気高く聳える三角錐は正しく山の中の山、一度は登らずに居られません。


・・・こう書くと如何にも登って来たかのように聞こえますが、結論から言うと今回もまた敢え無く敗退でした。どうも自分は山でも人間でも美人には縁がないようで、恋い焦がれた末に結局ふられる運命にあるようです。


とは言え、今回の山行は敗退したとはいえ、色々と有意義なものがありましたのでご報告したいと思います。


予定では連休2日目の午前1時に自宅を出発し、午前5時にはヒエ平から登山を開始するつもりだったのですが、当然の事ながら寝坊し、登山口に着いたのは午前8時でした(泣)。


山の神や王滝ベンチといった懐かしい場所を通り過ぎ、一の沢の出合いに着いたのが午前10時半。ここからアイゼンを装着して雪渓を登ります。


<一の沢出合い>

2011050302.jpg

一の沢には冬の間に堆積したデブリ(雪崩の残骸)が山のように積み上げられていて、北アルプスの雪の多さを物語っています。

ちなみに下の写真のデブリは僕の背丈(175cm)の三倍位の高さがあります。これにやられたら最後、夏になるまで出てこられません。


<一の沢のデブリ>

2011050301.jpg

一の沢と聞いて先ず思い出されるのは、何と言っても「のらくろ岳友会」のメンバー3名による遭難でしょう。この事件は1987年の1月に北アルプスに入った同会のメンバー3名が、途中で荒天に遭い常念乗越から一の沢を下山中、雪崩に巻き込まれて死亡したという事件です。この事件については泉康子氏の『いまだ下山せず!』という本に詳しく書かれていますが、それにしても正月の一の沢を、幾ら天候が崩れたとはいえ、敢えて下山路に採るというのは常識じゃちょっと考えられません。一の沢は傾斜も急であり、しかも左右を壁に囲まれているので、もし雪崩が起きたらどこにも逃げようがありません。これが山の素人だったら分かるのですが、亡くなった3名は何れも同会でもトップクラスの山の猛者達です。そのような者達が何故にこんな危険なルートから下山したのか、全くもって謎です。自分たちの力量であれば大丈夫だと考えたのであれば、魔が差したとしか言いようがありません。


この事件についてもっと詳しい内容が知りたい方は是非、泉氏の著書をご覧下さい。


出合から暫くは沢沿いに緩やかな斜面を上がって行きますが、暫くすると「胸突き八丁」と呼ばれる急斜面となります。夏場なら何でもないような所なのでしょうが、残雪期は当然のことながらアイゼン登攀となり、かなりのアルバイトを強いられます。一丁は約110mですので、八丁は約880mということになりますが、3か月振りに山を登る身としては327丁はあるのではないかと感じられる程きつかったです。


ひいひい言いながらも何とかピッケルは使わずストックだけで登っていたのですが、上部雪渓に差し掛かったあたりでふと足元を見ると、


雪渓にクラック(ひび)が入ってる・・・。


いやぁぁぁん。しかも先程から雨が降り出して、ひびの間に水がどんどん入ってるしー。こんな所でもし雪崩が起きたら夏まで冷凍保存確定じゃないのさぁ。そうだ、後ろから誰かついて来てるに違いない、と思い振り返ると、


誰もいない・・・。見渡す限り・・・。


もうこうなったらやるっきゃナイト。最後まで登るしかありません。死ぬような思いで漸く常念乗越まで辿り着き、相変わらず澄ました顔をして立っている常念を見上げながら、


「さあ、来たぞ常念ちゃん。これからこの僕がたっぷりと可愛がってやるからな」


とニヤニヤしていると、突然目の前がピカッと光り、「あれ、誰かストロボ焚いた?」と思ったその瞬間、


ビッシャーン!!ドロロロロローー!!!


うおぉぉぉ、何なんだ今のはぁぁぁ!
俗に言う「雷様」じゃないですかー。それも耳元でビシャーン、ドロロロローて言いましたよね。27万デシベルはあったんじゃないですかー。鼓膜が破けるかと思いましたよ。しかも目の前を稲妻が走り抜けて行きましたよねえ。


さっきまでの威勢はどこへやら、雷一発で意気消沈し、即座に撤退を開始。雪渓を滑り落ちるように降りて行きました。雷が鳴った直後から土砂降りになってしまったので全身ずぶ濡れになり、途中でレインウェアを装着。後からのこのこと登って来た無鉄砲な単独行者と出会ったので話してみると彼も降りるということでしたので、途中まで一緒に下山しました。


樹林帯に入って漸く人心地がし、無鉄砲な単独行者とも別れ、暫く山の余韻を楽しんだ後、とぼとぼと車に戻りました。駐車場には自分の車を除いて3台しか停まっていませんでした。


今回は残念ながら敗退してしまいましたが、前回の林道入口、前々回の胸突八丁と比べれば、乗越まで行けた分幾らか進歩したかと思います。次回こそは僕の超絶登山テクで常念坊をヒイヒイ言わせてみせるぞ、と心に誓うのでした。

追伸:
その後ニュースで見たところ、白馬や槍に加え、常念でも二名の遭難事故があり、一人は低体温症により死亡、もう一人は行方不明ということでした。風が強かったので恐らく滑落したのかと思いますが、ゴールデンウィークとはいえ、やはり北アルプスをなめちゃいけませんね。


<目的地>
常念岳

<ルート>
一の沢ルート

<標高差>
1,160メートル

<歩行距離>
約11.4km

<日程>
4/30(土)

<タイムチャート>
8:00 ヒエ平登山口
9:20 王滝ベンチ
10:30 一の沢出合
13:00 常念乗越
18:00 ヒエ平登山口

<コースタイム>
10時間00分

<歩行時間>
10時間00分

<休息時間>
0時間00分(写真、タバコ除く)

posted by Kiyonyan at 14:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 登山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。