2012年09月15日

麗しの常念岳

抜ける様な青空だった。

盛夏の間、漲る生命をあらん限りに開放させ、この世に生きてあることの嘉悦を詠い愉しんだ小動物や木々達の饗宴は終わりを告げ、そこにはこれから訪れるであろう厳寒の試練を待ち受けるかの様な、初秋の静寂だけがあった。雲一つ無く晴れ渡り澄み切った大気は天空を紺碧に染め上げ、地上と宙との境界は、今やその存在すら疑わしかった。

しかし青年は、その様な風景を愛でるでもなく、ただその一点だけを見つめながら黙々と脚を前方へと繰り出していた。彼の知覚には周りの景色や動植物の囀りなどは一切介入すること無く、彼の意識にはただその一点だけを目指し、己が身をより高みへと持ち上げることしか無かった。いや、今や彼には自分の行っている動作についての意識すら無く、彼の精神と肉体とは完全に分離されていた。

彼の肉体は機械的に同じ動作を繰り返しているに過ぎず、彼の精神はその一点を中心に広がる無限の彼方へと向け飛翔していた。そして、彼の肉体が遂にその一点に達した瞬間、彼の精神は多次元へ向かい発散し、彼自身もまた無限の一部と化したのであった。

・・・・。

・・・・・・・・。

な〜んちゃって。柄にもなく笹本稜平ばりのシリアスな書き出しで始まりましたが、遂に登っちゃいました、常念岳。四回目の挑戦での初登頂になります。

初回は時間オーバーで敗退。二回目は道路封鎖で敗退。そして三回目は天候悪化で敗退と不運続きでしたが、今回は天気にも恵まれ、何ら苦労する事も無く登頂することができました。

。苦労無いどころか殆ど死にかけました。何しろ約一年ぶりの登山でしたので、運動不足の身にとって北アルプスは正に地獄でした。普段から何かしら運動を行っていれば良いのでしょうが、究極のインドア派である自分は、一日の行動範囲がマウスパッドの中だけという状態でしたので、久しぶりの登山に身も心もボロボロになってしまいました。

さて、日曜の深夜に一ノ沢の駐車場に車を停め、午前四時に起床。駐車場は既に満車でした。コンビニで買ったおにぎりとゆで卵を食べ、準備運動を済ませてから五時に駐車場を出発。ヒエ平らの登山口に向かいます。

この登山口は駐車場から遠いので、登山前のウォームアップには調度良いのですが、帰りは本当に恨めしく感じられます。

<ヒエ平登山口>
2012091501.jpg

山の神、王滝、笠原と通い慣れた道を順調に進み、一ノ沢を遡行して胸突八丁に到達。ここから沢を高巻いて乗越を目指します。自分は雪渓の残っている時期にしか来たことが無かったので知りませんでしたが、これが本当の胸突八丁らしいです。

<胸突八丁>
2012091502.jpg

胸突八丁はぐんぐん高度を上げ、常念乗越に到達。穂高連峰が一望できます。勿論、槍も見えます。

<常念乗越>
2012091503.jpg2012091504.jpg
2012091505.jpg2012091506.jpg

常念乗越からはいよいよ常念岳を目指しますが、この最後の登りが想像以上にきつかったです。常念岳は岩が多く、天性のバランス感覚の鈍さを持った自分は余計に体力を消耗してしまい、通常一時間位のところを、何と二時間近くもかかってしまいました。

そして遂に辿り着いた常念岳山頂。周りの風景は燕岳や蝶ヶ岳のそれと大して変わらないので感動はありませんが、四回目の挑戦での常念岳初登頂は感無量でした。

<常念岳山頂>
2012091507.jpg

本来なら山頂でコーヒーを沸かして昼食となる予定でしたが、久しぶりの登山でペースが上がらず、予定時刻を大幅にオーバーしていたため煙草を一本吸っただけで下山開始。山頂にいた人達はびっくりしてました。

この時点で既に膝が少し痛かったのですが、取り敢えず乗越まではストックなしで下りようと思ったのが運の尽きでした。常念小屋のベンチで大休止を入れたにも関わらず、胸突八丁の途中で完全に膝をやられ、ストックなしではとても歩けない状態になってしまい、ストックに縋り付きながらの下山となりました。最後の方では平らな道を歩くのにも大汗を掻く始末で、殆どスリラー状態で登山口に辿り着きました。

さて、念願の常念岳初登頂は無事達成できましたが、やはり一年振りのリハビリ登山でいきなり北アルプスは無謀でした。一昨年までは25キロ背負って10時間以上歩いてたのと同じ人物とはとても思えません。やはり普段からの心掛けが大事だと心底思いました。毎回同じことを言ってるような気がしますが。

<目的地>
常念岳
<ルート>
一ノ沢
<標高差>
約1,600メートル
<歩行距離>
約14km
<日程>
2012/9/9(日)
<タイムチャート>
5:30 ヒエ平登山口
5:50 山の神
6:40 王滝
7:40 笠原出合
8:20 胸突八丁
8:40 最終水場
9:40 常念乗越
11:20 常念岳山頂 11:30
12:50 常念乗越 13:30
14:30 胸突八丁
17:30 ヒエ平登山口
<コースタイム>
12時間
<歩行時間>
11時間10分(上り5時間50分、下り5時間20分)
<休息時間>
50分

posted by Kiyonyan at 10:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 登山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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